付加価値のない自動車会

~副題 クルマだらけの間違いづくし~

「ノスタルヂ屋」さんは今日もクルマとバイクのカタログでいっぱいだった。

茨城県の北部に引っ越してきてから、お宮参りのように1~2ヵ月に一度は通う場所がある。つくば市にあるクルマとバイクのカタログ専門店「ノスタルヂ屋」さんだ。特定の車種への興味が芽生えると、ネットや新旧の書籍・雑誌に情報を求めている。しかし、好きなクルマが駄物ファミリーカーや中途半端な年代の中古車ばかりだから、雑誌などで特集が組まれることはなく、写真点数が少ない上にいつも同じショットばかりでもっと見たくなる、知りたくなる。そんな時、一番いいメディアはカタログしかない。

「ノスタルヂ屋」さんはバイクとクルマに特化している。とにかく品揃えがすごい。往年の名車のものもあるようだし(少しは見ときなさい)、マイナーな車種のものもいっぱいある。いつも探し始めて5分以内にお目当てのものが見つかっている。車両本体のカタログだけでなく、純正アクセサリーパーツのカタログも豊富。「おっ、木目調サイドデカールだ。もう売ってないかなぁ」などと本体も持ってないのにぶつぶつ言っている人がいれば、それは私だ。恥ずかしいグラフィックのストライプや浅リムのアルミホイールなども押さえておきたいならば一緒に買っておくべし。

カタログはメーカー別、年代別に纏められているからすごくわかりやすい。メジャーなクルマは車種別に分けられている。外国車のものは、正規輸入車用と現地用の両方あることが多い。中には輸出用車の現地カタログ、ヴィンテージ価値のあるものも紛れているので注意深く見ていこう。ストッカーに入りきらないものは山積みされているが、「何年代の○○はありますか」と訊ねれば、店主のカンピュータが働き、一ヵ所に纏まっている場所を教えてくれる。

親切に丁寧に対応してくださる店主の松浦さんのお人柄もこのお店に足を運ぶ理由の一つ。カタログはビニール袋に入れられているが、口は開いているので、一言お断りすれば気兼ね無く自由に中身を見てから買うことができる。マイナーチェンジまで行かないような年式別の小さな違いにこだわる人や、お目当ての写真を求めている人には嬉しい。店の壁に貼られているポスターの選定にも店主のセンスが窺える。名車のものばかりでなく、ちょっとハズシた感じのクルマや当時もののカー用品などの掲示物が目を楽しませてくれる。

カタログを買うとおまけにクルマ・バイクの絵はがきをプレゼントしてくれます。かなりの数から選べるのでレジで数分間悩みます。ポイントカードにもスタンプを押してくれて、貯まった私は1/43スケールのミニカーをいただきました。ポイントが使える書籍もあるようです。

クルマ2台分の駐車場も付いているから安心して買い物ができる。いつも息子を道連れにして「30分だけいい?」と言っては2時間滞留。消費者購買行動の研究によれば、店舗内の滞在時間が長くなると、購買点数は増える傾向があるそうだ。「パパがクルマのカタログ5,000円も買ってたよ」とチクられないよう、「後で中古ソフトを見に行ってみよう」という結果となり、出費は二倍に。

「これまでのところ欠点がどこにもないぞ。怪しい」とお気づきの方。有ります。油断していると出来心で色々と買ってしまいます。なので、自分をしっかり持ってお店を訪れてください。先日もハマグリシルビア(S10型)後期型のカタログがあればそれだけ買ってさっと帰ろうと思ったところ、何気なく見ていた’80年代の日産車の山積みの中にローレル・スピリットを発見。既に昭和63年のカタログを持っているから必要なし。でも昭和61年のもので表紙も違うから一応、中を見てみたら「気品と風格の香り フレグランス セダン」かなるほどねぇ。店主と雑談しながら、気づかぬ内に支払いが済んでいた。こういうケースが毎回起こります。皆様のご無事を何よりも願うところ。

実は、「ノスタルヂ屋」さんについて書きたかった理由がもう一つ。ブログを書いてみるよう勧めてくださったのが店主の松浦さんだったのです。カタログ選びをしながら雑談する中で、様々なジャンルのクルマについて訊ねられては、うすーく、あさーく、安っぽーく、ひろーく受け答えしていたところ、おそらく特定のジャンルや車種のエンスーが多いクルマ好きの中で、私が奇異に映ったのでしょう。「ブログをやったらどう?」と言われました。いやいや、フェイスブックツイッターはおろか、携帯電話で写真を撮ったこともなければ、プライベートで携帯メールをするのは緊急時に家族と2年に1回だけの私が情報を人様に発信するなんてことはあり得ない。世の中には日夜愛車を分解しているような玄人の人たちだらけだし、怒られたら嫌だもん。

それから数ヵ月後、松浦さんの「日記を書けばいいだけだよ」と言う言葉に背中を押されて書き始めました。先日、お礼と報告をしに行った。これを読んでくださったかも知れない。「あんにゃろ、こんなふざけたブログを書きやがって。やっぱり素人にろくなこと教えんじゃなかった」と後悔されてる店主が目に浮かぶ。なんかこわい。胸騒ぎがする。