付加価値のない自動車会

~副題 クルマだらけの間違いづくし~

ボク大人になったらカーブでホイールキャップを飛ばすんだ。

アメリカ車好きになった 決定的瞬間は映画「バニシング・イン60」だった。それ以来、カーアクション映画を中心にクルマが登場する映画を沢山観てきたように思う。有名どころはもちろん「バギーチェイス」「アドベンチャーラリー」とか、デビッド・キャラダインの「爆走キャノンボール」、カナダの「ビッグマグナム77」などのB級作品を少年は映画にA級だのB級だのあるとは知らずにお父さん、お母さんを連れ出しては映画鑑賞をせびっていたのであった。確か小学校の高学年だったと思う。「三鷹オスカー」という街の映画館(シネコンなんてものは未だアメリカにも無かった)で旧作カーアクション映画の3本立てが開催された。千葉県の市川から一人で電車に乗ってやってきて半日カーアクション映画を堪能した。昔の親はよく心配しなかったもんだ。

みなさん「サーキットの狼」の実写版映画があったの知ってますか? ジュリアーノ・ジェンマが手錠をかけられたまま両手シフトチェンジでぶっ飛ばす映画見ましたか? 「桃さんのタイヤを冷やさないと、もうもたない」からといって街道沿いから水をぶっかけてはいませんか?

と、まあこんなにも自動車が登場する映画が好きな少年もやがておっさんになり、これはおかしいと気づいたあたりから映画そのものを数十年の間観なくなってしまいました。そんなある日、書店の映画コーナーで偶然見つけたのが本日紹介する本「カーチェイス映画の文化論」です。

2006年にリム出版新社という会社から発売されました。著者の長谷川功一さんという方は、出版当時あまり情報が得られなかったのですが、現在、京都情報大学院大学で准教授をされています。専門は映像制作と映画研究とのこと。

アメリカ車について語る本ではありませんのでお間違えないように。先生のお顔を大学のホームページでちらりと拝見したところ、どちらかと言えば「シボレー・サイテーション」や「プリムス(プリマスじゃないよ)・サンダンス」タイプ。

文学や映画の研究者はストーリーだけでなく、根底にあるテーマ(あるいは「write motif」と呼ばれるもの)を見い出す作業を通じて、登場する人物や物にどのような意味合いが与えられているのかを解釈しているみたいですよ。「ブリット」「フレンチコネクション」「バニシング・ポイント」「バニシング・イン60」「トランザム7000」などを中心に沢山の派生B級カーアクション映画の名前も網羅されています。映画紹介や評論ではなく、骨太い映画考察が展開されていて読み応えたっぷりです。

と調べていたら、昨年「カーチェイス表象の探求」という本を出されていました。オンデマンドなんちゃらとか難しいこと書いてあったけど、よーしこれ終わったら買ってみよう。